観光事業者のデジタル化が進まない理由と、進む会社の共通点

観光業界のDX、デジタル化、IT活用。掛け声は何年も前から上がっているのに、現場の実態はExcelとメールと電話が中心という会社が大半です。旅行・観光は日本の基幹産業の一つでありながら、デジタル化の進捗は小売やメーカーと比べて明らかに遅れています。
その原因を「業界が保守的だから」で片づけるのは簡単ですが、実際にはもっと構造的な理由があります。そして、その構造を理解したうえで一歩を踏み出した会社は、着実に成果を出し始めています。

目次

  1. デジタル化が進まない5つの構造的理由

  2. 進む会社に共通する3つの特徴

  3. Before/After:デジタル化の前と後で何が変わるか

  4. 進まない会社がまずやるべきこと

  5. TRAVESENSについて

デジタル化が進まない5つの構造的理由

理由1:案件ごとの例外が多すぎる

旅行業務は定型化しにくい特性を持っています。法人旅行やオーダーメイド案件では、毎回異なる条件の組み合わせに対応する必要があり、「うちの業務は特殊だからシステムに乗らない」と感じやすくなります。
ある地方のDMCでは、年間約200件の案件のうち、まったく同じ構成の案件は1件もありませんでした。この多様性が「システム化=型にはめられる」というイメージにつながり、検討段階で止まってしまいます。

理由2:投資対効果が見えにくい

旅行業務の効率化は、「提案が速くなった」「ミスが減った」「引き継ぎが楽になった」など、効果が分散して見えにくいという特徴があります。稟議書に「見積作成時間が短縮されます」と書いても、「それでいくら浮くのか」を算出する方法が分からず、「もう少し様子を見よう」となりがちです。

理由3:IT人材がいない

旅行会社の多くは中小規模で、ITの専任担当者がいません。ツールの選定から導入、運用までをすべて現場の兼務で回すのは負荷が高く、「誰かがやらないといけないが、誰もやれない」状態が続きます。

理由4:業界向けツールの選択肢が限られていた

汎用ツールは旅行業務に合わせるためのカスタマイズが必要で、業界に特化したSaaSはここ数年でようやく選択肢が増え始めた段階です。「以前探したけど合うものがなかった」という先入観が残っている場合もあります。

理由5:改善に使う時間そのものがない

これが最も根深い理由です。日々の案件対応に追われ、「業務を見直す時間」が取れません。ある旅行会社の現場リーダーは「改善が必要なことは分かっている。でも今月の案件を回すので精一杯で、改善プロジェクトに使える時間が週に1時間もない」と語っていました。

進む会社に共通する3つの特徴

特徴1:課題を具体的に言語化している

進む会社は、「見積作成に平均2日かかっているのを半日にしたい」「過去案件の再利用率を上げたい」というレベルまで課題を具体化しています。ある中堅旅行会社では、部門長が1週間だけ「業務中に困ったこと」をメモに記録し、チームで共有するところから始めました。20件のメモが集まり、そのうち12件が「同じ情報を複数回入力している」「ファイルの最新版が分からない」に分類されました。ここから改善の優先順位が見えてきたそうです。

特徴2:小さく始めている

全社一斉導入ではなく、1つの部署、1つの工程から試して、効果を確認してから拡大しています。「よく使うコンテンツ10件をデータベースに登録する」「見積テンプレートを3パターン作る」という規模から始めれば、既存業務を大きく崩さずに効果を検証できます。
小さく始めることの効果は2つあります。失敗した場合のリスクが小さいことと、成功した場合に「あのチームが楽になったらしい」という口コミが社内に広がり、次のチームの導入抵抗が下がることです。

特徴3:経営層が「経営課題」として位置づけている

予算を計画的に確保する。導入期間中の生産性低下を許容する。「なぜやるのか」を経営者自身が語る。この3つが揃っている会社は、デジタル化が前に進みやすいです。三越ニッコウトラベルや東武トップツアーズがTRAVESENSの導入で成果を出しているのも、経営判断としてデジタル化に取り組んだからこそです。

Before/After:デジタル化の前と後で何が変わるか

■問い合わせ対応

Before:過去の類似案件を記憶から探す。見つからなければゼロから調査

After:案件管理システムで過去案件をキーワード検索。コンテンツデータベースから候補を引き出して提案の骨格を作る

■見積作成

Before:Excelで手入力。修正が入るたびに全セルを手動更新

After:データベースの料金情報を参照して見積作成。旅程の変更が見積に自動反映

■引き継ぎ

Before:担当者が休むと状況把握に半日以上

After:案件に紐づくすべての情報が1か所にあり、誰でも即座に把握可能。TRAVESENSの導入効果として検証されている「問い合わせから旅程提案までの所要時間が5日から1日に短縮」は、こうした改善が積み重なった結果です。

進まない会社がまずやるべきこと

大きなプロジェクトを立ち上げる必要はありません。最初の一歩は、15分でできます

直近1ヶ月の案件を1つ選び、各工程で実際にかかった時間を書き出してみてください。「見積作成に約3時間」「旅程の修正に約2時間」「上長承認待ちで約半日」という粒度で十分です。さらに、「同じ情報を何回入力したか」を数えてみてください。3回以上入力している情報があれば、そこに改善余地があります。

デジタル化は、すべてを一度に変える話ではありません。自社の業務で最も非効率な工程を1つ特定し、そこから整えていく。進む会社と進まない会社の差は、能力の差ではなく、最初の一歩を踏み出したかどうかの差です。

TRAVESENSについて

旅行業界のデジタル化が遅れている一因は「業務フロー全体をカバーできるツールがなかった」ことにあります。TRAVESENSは、旅行会社30社以上のヒアリングを経て設計された業界特化の業務基盤です。「うちの業務は特殊だから」と感じていた会社でも、業務フローに沿った形で導入できるよう設計されています。
「まず自社の業務に合うかどうかを確かめたい」という方は、無料デモで操作感をご確認ください。導入前の業務整理についてのご相談もお受けしています。

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