旅行会社・DMC・ホテルがいまだにExcel運用から抜け出せない本当の理由
旅行会社やDMC、ホテルの現場で、Excelやスプレッドシートが長年使い続けられているのには理由があります。すぐに使える、自由にカスタマイズできる、担当者ごとの工夫を反映しやすい。小規模な体制であれば、これで十分に回っている会社も少なくありません。
ただ、「回っている」と感じている段階でも、気づきにくいところでコストが積み上がっていることがあります。この記事では、Excel運用が限界を迎えやすいポイントと、その背景にある構造的な理由を整理します。「今すぐExcelをやめましょう」という話ではなく、自社の現在地を客観的に把握するための材料としてお伝えします。
目次
現場で実際に起きていること
Excelが手放せない構造的な理由
「回っている」の裏で積み上がる見えないコスト
放置したときに何が起きるか
最初に手をつけるべきポイント
自社の状況を確認するチェックリスト
TRAVESENSについて
現場で実際に起きていること
よくあるのは、こんな場面です。見積ファイルが担当者のPCにしかない。前回の旅程がどこに保存されたか誰も覚えていない。案件が重なる繁忙期に、似た案件の情報を探す時間だけで1件あたり30分以上失っている。ベテランの頭の中にはノウハウがあるものの、それを引き継ぐ仕組みがないため、異動や退職があると現場が一気に混乱してしまいます。
旅行業務の厄介なところは、1つの案件に対して見積、旅程、予約手配、顧客連絡、社内承認という複数の工程が絡み合うことです。Excelで各工程を個別に管理していると、見積を修正したら旅程側にも反映が必要になり、そのたびに手作業で転記することになります。この「修正のたびに発生する転記と確認」が、現場の時間を最も圧迫している要因です。
ある中堅旅行会社では、1案件あたりの見積修正が平均4回。修正のたびに旅程ファイル、手配管理表、顧客向け提案書の3つを手動で更新していました。1回の修正に約40分、月間30件で計80時間。年間に換算すると約960時間、つまりフルタイム1人分の労働時間に相当する工数が「転記と確認」だけに消えていたことになります。
Excelが手放せない構造的な理由
では、なぜ分かっていても抜け出せないのでしょうか。理由は大きく3つあります。
1つ目:乗り換えコストの不透明さです。いまのExcel運用を別のツールに移すとして、データ移行にどれだけかかるか、現場が慣れるまでにどれだけ生産性が落ちるか、定量的に見積もりにくいため、判断が先送りになりがちです。「とりあえず今のまま回せている」という現状維持バイアスが働きます。
2つ目:「部分的に便利」なツールが多すぎることです。旅程作成だけ、顧客管理だけ
、予約管理だけのツールは存在しますが、それらが連携しないため、結局Excelが「つなぎ役」として残り続けます。CRMに顧客情報を入れ、見積はExcelで作り、旅程はWordで仕上げ、手配確認はメールで追う。ツールが増えるほど、Excelがハブとして温存される構造が強化されてしまいます。
3つ目:現場の心理的な抵抗です。長年Excelで回してきたベテランにとって、新しい仕組みへの移行は自分の仕事のやり方を否定されるように感じることがあります。「自分のやり方で成果を出してきた」という自負があるからこそ、変えることへの抵抗が生まれます。ここへの配慮なしにトップダウンで進めると、形だけ導入して実際は使われない、という結果に終わりやすいです。
「回っている」の裏で積み上がる見えないコスト
Excel運用が問題になりにくいのは、コストが見えにくい形で分散しているからです。具体的にどんなコストが積み上がっているかを分解してみます。
時間のコスト。 情報を探す時間、転記する時間、確認する時間、修正のたびにファイルを開き直す時間。1回あたりは5分、10分の単位ですが、案件数と修正回数を掛けると月間数十時間に膨らみます。
品質のコスト。 転記ミスによる見積金額の誤り、旅程と見積の不整合、手配先への情報伝達漏れ。1つ1つは小さなミスでも、顧客に渡る書類に混入すれば信頼を損ないます。繁忙期にはこうしたミスの発生頻度が上がりますが、忙しいからこそチェックが甘くなるという悪循環に陥りがちです。
属人化のコスト。 ベテラン担当者のPC内にだけ存在するファイル、メールの送受信履歴でしか追えない手配の経緯、頭の中にしかない顧客ごとの注意事項。これらは組織の資産ではなく個人の資産であり、その人が抜けた瞬間にゼロに戻ってしまいます。
機会損失のコスト。 見積回答に3日かかっている間に、競合が1日で提案を出していたら。過去の類似案件をすぐに引き出せれば受けられたはずの急ぎの依頼を、情報が見つからず断っていたら。こうした機会損失は数字として記録されませんが、売上への影響は確実にあります。
放置したときに何が起きるか
Excel運用を放置するリスクが顕在化するのは、たいてい以下のようなタイミングです。
エース担当者の退職。 その人の頭の中にあった判断基準、過去案件のパターン、顧客ごとの注意事項が一気に失われます。残ったメンバーは同じ品質を維持できなくなり、顧客から「最近、対応の質が落ちた」と言われるようになります。
案件数の急増。 月間20件なら回せていたExcel運用が、50件になった途端に管理が追いつかなくなります。案件の重複確認、ステータスの把握、変更の追跡。件数に比例して管理コストが膨れ上がり、ミスの確率も上がります。
品質クレームの連続。 ダブルブッキング、手配漏れ、古い情報のまま提出された見積。1回のミスは許容されても、短期間に続けば顧客の信頼は崩れます。特に高単価案件やリピーター顧客に対してミスが出ると、回復に時間がかかります。
最初に手をつけるべきポイント
すべてを一度にシステム化する必要はありません。まずは直近の案件を1つ選び、問い合わせ受領から最終手配までの流れを紙に書き出すところから始めてみてください。その際、以下の3点を記録します。
①同じ情報を何回入力しているか。 顧客名、旅行日程、人数、行き先。これらを見積、旅程、手配管理表、顧客データベースのそれぞれに何回入力しているかを数えてみてください。3回以上入力している情報があれば、そこが改善の最優先ポイントです。
②どこで「最新版が分からなくなる」か。 見積ファイルが「見積_最終版_v3_修正_確定.xlsx」のような命名になっていないでしょうか。旅程の修正前と修正後がどちらが最新か混乱していないでしょうか。版管理の問題が起きている工程を特定します。
③誰の確認待ちで案件が止まるか。 上長承認、顧客への確認、サプライヤーからの回答。承認フローが明文化されておらず、「誰に聞けばいいか分からない」という時間が発生していないかを確認します。
この3点を洗い出すだけで、改善すべき工程の優先順位はかなり見えてきます。
自社の状況を確認するチェックリスト
以下のうち、3つ以上該当する場合は、Excel運用の見直しを検討する段階にあるかもしれません。
見積修正のたびに旅程や手配管理表も手動で更新している
過去の案件情報を探すのに15分以上かかることがある
特定のベテランがいないと回らない業務がある
繁忙期にミスや確認漏れが増える
担当者の異動や退職で業務品質が不安定になった経験がある
案件数が昨年より増えたが、対応体制は変わっていない
見積や旅程のフォーマットが担当者ごとにバラバラ
旅行・観光・ホスピタリティ業界のように、案件ごとの変数が多く、顧客対応品質が売上に直結する業界では、Excelの限界は案件数の増加とともに表面化しやすくなります。その前に、少なくとも「どこに負荷がかかっているか」だけでも可視化しておくことが、次の一手を打つための土台になります。
TRAVESENSについて
TRAVESENSは、旅行・観光・ホスピタリティ業界に特化したクラウド型業務管理プラットフォームです。旅程作成、見積管理、予約手配、コンテンツ管理、案件管理を一元化し、Excelやスプレッドシートに依存した業務フローの改善を支援します。
また、システム提供だけではなく、旅行業界に特化したDXコンサルティングも行っています。現状業務の可視化から業務フロー設計、既存システムとの連携、AIやRPAの活用提案まで、旅行業務を理解したチームが伴走しながらご支援いたします。
「Excel運用に限界を感じている」「案件数を増やしても品質を維持したい」「属人化を解消したい」とお考えの方は、まず無料デモや業務相談をご活用ください。
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